ギターの時間、2009年12月15日号 エレクトリックチェア〜内藤正彦 Interview
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Electoric Chair

【エレクトリック・チェアの作り方〜後編】

(interview&photo:Kazutaka Ebe/Photo:K.Camera)

ーー2010年は結成16年になりますが、メンバーの変遷、音楽的な変遷もあったのではないかと思いますが?

内藤:最初は集まったメンバーの多くが初心者に近い状態でした。まずその辺りを考慮した曲からつくり始めて、押し切られるような形で演奏会をするようになってからは、たくさんの応援と、さらに優れたメンバーに恵まれて今に至っています。

ーー継続は、力! ですね。

内藤:音作りやコンセプトは当初から変わることなく前に進んでいます。けれども最初からのレパートリーでいまだに演奏しているものもありますよ。
(吉田剛士さん責任編集の季刊「奏でる」に楽譜掲載中)

ーーステージでは楽譜も使いませんよね?

内藤:暗譜での演奏も最初からのプランです。変わって来たように見えたとしたらメンバーのキャラクター、努力や成長に拠るものです。 本来なら絶対作曲しないだろうと思う曲を私から引き出してくれることも少なからずあります。
 練習では私は最小限の言葉をかける程度、庭師に似ているかもしれません。
「変遷」というより樹がゆっくり育ち、枝や葉を広げて行くような15年だと感じています。

ーー衣装も最初からのコンセプトとのことですよね? どういう発想からこのコスチュームになったのか教えてください。

内藤:アジア全体の一地域として足場を捉え、アジア人が様々な時代、地域の西洋文化の技術を使って表現する矛盾、そこに向き合う姿を映し出す衣装を模索しています。バラバラな衣装をちりばめる時もありますが、今年からの蒼く美しい衣装はジャズ・ダンスの篠井世津子さんがデザインしてくださったものです。篠井さんは小説家、萩原葉子さんを通しての言わば「同志」です。あの衣装の色彩は一着一着違うのですよ。

ーー音楽とコンセプト=ステージから感じるものとすごく合っていると思って・・・。ところで、リハーサルでのメンバー配置はどんなかんじなんですか? ステージ上の音響効果も考えられた作曲/演奏表現が多いようですからどんなふうにやっているのかぜひ伺いたいんですが?

内藤:練習でも曲ごとに座る場所が変わります。スコアに明記された配置に留まらす、時には背中向きや環になったり離れたりしながら音の共有や感じ方を探す事もあります。当日のライブ会場ごとに適したナチュラルな音づくりが練習でのポイントになります。
 奏者同士の距離、客席との距離、沈黙と音、音の高低も距離ととらえます。

ーーそれらがすべて音楽の要素、ということですね?

内藤:そうです。もちろん客席中央で聴く程音の関係性は聴こえやすくなりますが、端で聴いてもまた違う形でそれは顕れる…。それらを紡ぎ出すための練習方法はあまりにたくさんありすぎて、ひと言では言えません。

ーーその細やかさが、聴いていて、とてもおもしろいと思いました。神経質というのとはまったく違って、大きな会場なら大きな会場なりに、小さければまたそれなりに「効果」に気づかされて、全然飽きません。

内藤:舞台の音楽を手がける時、たいてい演出家の隣で稽古を見ます。優れた演出家が役者さん達をどのようにまとめていくのかを目の当たりにする経験も役だっていると思います。距離をどのように感じるか見つけ出す問題にしばしば直面します。

ーーそういう「聴こえ方」「音の方向」ということ、その音響的な興味、関心はいつから、どいういうことがきっかけになってのことなのでしょうか?

内藤:おそらく物心ついてからすぐです。耳を澄ますと車が通り抜ける音、人の話声、街の騒音、風の吹き抜け、鳥の鳴き声、飛行機、犬の吠える声などが周囲から聴こえ、それらがその場所ならではの特性を描きつつ、気持ちを開けば音の面白さとして飽くこと無く楽しむことができます。
 後に(ジョン)ケージを知ってからその思いをさらに強くしました。千里(大阪)の万博で体験した音楽や映像からも影響を受けたかもしれませんね。

ーー僕もあのイベントで、音楽的、音響的に最先端のパフォーマンスが日常の中に入ってきた気がしました。ところで5.1サラウンドとか、オーディオ的なことへの関心も高いのですか? オーディオマニアですか?

内藤:普段はオーディオにはあまり感心がありません。でも可能性の広がりは感じます。
 実際、エレクトリック・チェアの2nd CD「in leaf」は元々5.1chサラウンドDVDとして作成しました。CDはそれを2ch用に変換したものです。作曲家のKen Satoさん、ワンダーステーションの浜田純伸さんのご協力でDVDは最高水準の面白いものに仕上がりました。生演奏での音の位相を再現出来るだけでなく、幻想的に或いはユーモラスに音が身体の周りをぐるぐる動き廻る未知の体験ができます。

ーーワンダーステーションは久石譲さんのホームスタジオですね? ところでいまのところどうかすると拝見できるホームページの情報から察すると、日本より海外での評価が先に来ています。海外へのアプローチはどのようにされたんですか?

内藤:これはインターネットによるおかげでは無いでしょうか? プログレッシブ・ロック関係の方々が後押ししてくださっていますが、エレクトリック・チェアのメンバーも私同様良くわかってないと思います(笑)。
 エレクトリックチェアのメンバーは、欲が無さ過ぎ、おっとりしてますので先方が見つけてくださったのでしょうね。3年前の、「eurofestival zupfmusik Bamberg 2006」では演奏終了とともに耳を覆うほどの拍手喝采と反響を頂きました。その時の影響もあるかもしれません。来年の「eurofestival zupfmusik Bruchsal 2010」(2010年6月3〜6日)にもご招待頂きました。

ーー音楽が雄弁に語っているんですね。いや、そういう音楽だと思います。2010年の活躍も期待しています!

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