ギターの時間、2010年5月12日号
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 ARTE MANDOLINISTICA(アルテ・マンドリニスティカ 以下:ARTEと表記)2010年の大きな企画のひとつ「3人の作曲家達III × 2」が4月24日東京・晴海の第一生命ホールで行われた。3月20日大阪公演に続くもの。
 ARTEはマンドリニスト井上泰信が音楽監督を務めるマンドリンオーケストラ。「マンドリンとマンドリン音楽の普及」というたいへん明確な目標を持ちNPOとして運営されている団体だ。
 今回の企画意図は、公演前に本サイト(ギターの時間)でも井上氏自身のことばで紹介したとおり、「三者三様という作曲家のスタイルと違いを楽しむ」「作曲家同士の接点となったり、いい意味でのライバルとなるきっかけを提供」「作曲を志す若者へのメッセージ」といったことを挙げていた。謙虚な言い方だと思う。この企画の意義はもっと大きい。6作品すべてがARTEからの委嘱作品で本邦初演。
 リハーサルの合間に6人のうち3人に話を聞いた。それぞれにマンドリンと関わりながら、新しい世界を創りだしている、その意欲、視点の確かさにうれしくなった。プログラムのコメントと取材した言葉を交え公演をレポートしよう。

 全体は1部と2部にわかれ、それぞれが「3人の作曲家達」という構成。全体として6作品が、練り上げられたフルコースのように並んだ。
 第1曲は、コンサート全体の“つかみ”といったことからか、曲調、意図ともわかりやすい「AQUA EXPRESS」(遠藤秀安)。特急電車である。プログラムにも「笑顔で背中を押すような、元気に歩き始められるような願いを込めた」とあるとおり、弦楽合奏楽器としてのマンドリンらしさが素直に出ているようで爽快だ。
■遠藤秀安さんのはなしはこちら...
AQUA EXPRESS冒頭部分(←↓どちらかをクリック)


 2曲目は、聴き手にも高めのテンションを要求しながらマンドリン・サウンドのカラフルな面と音響効果の幅広さと奥行きを引き出した「赤の回路」(石橋敬三)。不穏な様子を描写するかのようなフレーズが次から次へと形を変えながら飛び出してくる。三部構成になっていて、それぞれ調子を変える。何が表現されているのか、それは作者にも「答えが見つからない」という。が、個人的には聴きながらカートゥーンと呼ばれるアメリカの漫画映画などのサウンドトラックを連想していた。それも初期のトムとジェリーのサントラのようだ、と。日常のなかで起きる思いがけない事件の連続。その描写音楽。こんなふうに言うと作者にとっては失礼かもしれないが、ひとつの感じ方、勝手な聴き方と思ってお許しを。漫画や映画の世界では、「現代音楽」サウンドは、ごく当たり前だ。マンドリン音楽の可能性と汎用性を聴いた気がした。

「赤の回廊」冒頭部分(←↓どちらかをクリック)


 3曲目、前半のシメは「叙情組曲」(長谷川武宏)。「自分の感情、情緒を主観的にのべたもの=叙情」を主題にした作品。イントロから躍動感のあるモチーフがリズムを刻みつつ展開する急パートと「祭りや懐かしい情景」を回想するような緩パートが「急〜緩〜急」と構成される。合奏ならではのダイナミックなオケの鳴らしっぷりを楽しめる。最後に再び回想部で高揚感を作り、山場を作った。このまま休憩へ。
◆長谷川武宏さんのはなしはこちら...
マンドリン・オーケストラのための「叙情組曲」冒頭部分(←↓どちらかをクリック)




(つづきます)
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			ARTE通算2度目となる作曲コンクールが開催される。概要は以下。
第6回大阪国際マンドリンフェスティバル&コンクール –

2010年10月10日(日)
場所/いずみホール
(14時開演)

【開催概要】

コンクール開催部門

  • 作曲部門(マンドリンオーケストラ)
    • 通常6パートあるいはMcを除く5パート編成
    • 演奏時間約10分で管楽器・打楽器を用いないもの
    • 演奏人数は約50名(人数指定可)
    受付期間
    • 2010年8月16日(月)到着分まで有効
    予備審査
    • 譜面による審査(ABCによる3段階)
    • 予備審査結果発表/2010年9月1日(水)HPにて
    • 予備審査通過曲数/6曲程度
    本選
    • リハーサル/2010年10月9日(土)会場は未定(大阪市内)
    • 本選/2010年10月10日(日)演奏による公開審査
      • 演奏: ARTE MANDOLINISTICA
      • 指揮: 井上泰信
    本選会場 審査員
    • 北爪 道夫
    • 久保田 孝
    • 小櫻 秀爾
    • 小林 由直
    • 福士 則夫
    • 藤井 敬吾
    • 藤掛 廣幸
    • 松本 日之春