ギターの時間、2010年4月1日号
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1.「歌だけじゃない、伝わる音楽を作りたい」

ーー柴田さんの基本的な活動内容を教えてください。

柴田:10本くらいの企画が並走しているんですけど、コンスタントにつながっている主なものは4つです。今回の「ショコラ〜」は、バレンタインの季節に若い人、ジャンルの違う人たち自分の全魂を注ぎ込んで愛を届けるチャレンジのコンサートです。。

ーー演劇的な要素が含まれているステージでしたね。

柴田:ミュージカルのようですね。その中で常に土台となっているのは音楽。そういう要素の中で「感動を届けるとはなにか?」を考えるのがテーマです。
 「サラダ記念日」というシリーズは、私が数年前に病気をしたときに食生活は大事だな、生きていく上で基本だなと思った。それで積極的に「食」を考えたり「生活」を考えたりしまして。それでこのシリーズを始めました。これは毎年6月〜7月にやっています。
 もうひとつは9月にアメリカでおきた「9.11」のトリビュート・コンサート。ボランティアでやっています。あと12月クリスマスシーズンに海沿いのリゾート地で自然の中で音楽を聴く、という企画も続けています。

ーーそれぞれ企画/内容を考えるのが大変そうですね。

柴田:シリーズは同じですが内容は一回一回考えるので・・・。

ーー1年があっという間という感じでしょうか。

柴田:自分のインスピレーションを受けた事勇気を得た事を形にする事はとてもエキサイティン グな作業です。 細胞が全開するような・・・。2月の公演が終わったらすぐに次の7月の企画のための準備にかかります。一つの企画を形にするまで半年はかかりますからね。

ーー常に2つくらい考えているということですね?

柴田:いえ・・7つ位は・・・自分のコンサート制作以外にスピリタや個人のアーティストの方のプロデュース、それに自分の練習やレパートリー開発、後、興味のある事に関する本を読んだりと・・寝る暇がないかなと(笑)。

ーーでも柴田さんは基本は歌手でしょうから、歌手として人の企画にのって歌うことに専念するという音楽家としての生き方もあると思うんですが?

柴田:そうですよね。そういう人生もとても憧れます。決められたソプラノのレパートリーの練習に没頭して自分を磨くこともすごく気持ちがよいでしょうね。昔からニューヨークにいた時間が長かったからですかね・・・。歌うだけのコンサートというのが積極的な活動には思えないようになっちゃってたんです。
 わたしにとってリサイタルというのは歌を歌って「ねえ、聴いてよ」というスタンスではないんです。そういうコンサートが好きではなかったということもあります。歌を聴かせるということはいいんです。でも、行く前からその人のことを知る、勉強するとかして近寄っていかないと、その人の表現のほんの一部分にしか触れることができない、ということがあると思うんです。そういうことを越えて人を感動させる表現力があればいいんですが、それはじつはなかなか簡単にできることではないですよね。人のコンサートや自分のコンサートでもそれを感じて。そうういうギャップを感 じたままだと、実際、 会場で飽きてしまい感動までいかないかと。

ーー楽しみきれないですね、たしかに。

柴田:ほかの方のコンサートがそうだ、ということではなくて、自分がそういうふうに感じてしまう。楽しめない。そこで自分のコンサートのときは、そこにメッセージ性を持たせようと考えたんです。今回のような演劇的な要素をいつも盛り込むということではないんですが、ストーリー性を持たせる。その人でしか歌えない歌やライブをするからそこに何か強く感じる人や神の手に触れるような瞬間があると感じます。そう いう形 を、今後もやっていこうかな、と、方向性が見えてきてるところですね。
 とにかくお金をとって聴かせる、発表するだけのリサイタルをやる気はあまりないんです。音楽である以上、そこに来た人がなにがしか、善かれ悪しかれ、心が動く瞬間があること。それが、音楽の醍醐味だと思っているので、批判があってもいい。ともかくわたしがやるのはそういうステージなんだな、と。

(続きます)

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◆しばたともこ
 ソプラノヴォーカル。武蔵野音楽大学卒業後、1984年に渡米、グリーンカードを取得し現在ニューヨーク、東京に在住。カリフォルニア・ミュージックセンター、マヌス音楽大学、ジュリアード音楽院に学ぶ。
 懇意にしていたバーンスタインの曲を集めた“マンハッタン・ドリーム”のリリース、敬愛するジョン・レノンの歌詞をオペラの歌唱に載せた世界初のオール・ビートルズアルバム“LET IT BE”をロンドンで、セント・マーティン・インザフィールドと録音し反響を呼んだ。
▲レットイットビー(EMI Music Japan Inc.1996年発売) ▲マンハッタン・ドリーム
▲アメリカンドリーム
 世界を旅し自ら集めて来た各国の素晴らしいメロディーを集めた“LOVE CLASSICS”や“サラダ記念日コンサート”などのコンサートシリーズをプロデュース。人種やジャンルを超えて音楽で人と人との手をつなげるコミュニケーションを提供するライブを精力的に展開してきた。デイヴィッド・ボウイやマドンナのプロデューサーであるナイル.ロジャース氏率いる音楽ボランティア団体の活動にも積極的に参加している。
 日本の本拠地は“自由が丘オペラ座”。“光と緑を感じながら生楽器による音楽を楽しむ空間”をプロデュースしている。
 昭和音楽大学短期大学ミュージカルコース講師、英語、イタリア語に堪能。趣味は料理、アンティーク小物収集、日曜大工、インテリア・デザインなど。東京二期会会員。
 詳細は柴田さんのブログ 「ソプラノ 柴田智子のフリーダムな旅」をどうぞ。